2008/04/23

4月21日 善光寺での追悼法要:「平和を願う僧侶の会」より

『善光寺での追悼法要について』


 善光寺での追悼法要の趣旨に賛同いたしまして、法要の実現にむけて協力させていただいている「平和を願う僧侶の会」から一言申し上げます。

世界中には、様々な人種、民族、国家、宗教が存在します。それらがお互いの差異を超えて慈しみ合い理解し合う平和な世界、多様なものが調和する世界こそが、私たち仏教徒の願う理想の世界です。そしてそれはオリンピック憲章の掲げた平等の理念と一致するものであると信じます。

しかし聖火リレーに先立って起こりましたチベットでの悲しい出来事は、私たちに、現実の厳しさを改めて思い知らせるものでした。ご承知のように、この動乱では、多くのチベット族の方々、そして漢族の方々が、尊い命を落とされたと伝えられております。 今、心を澄ませて、犠牲になったお一人お一人に思いを馳せれば、その誰もが、暖かな体温と、豊かな心を持った、幸せを願う一人の人間であったことに気がつきます。そして、立場の違いこそあれ、抗うことができない運命のめぐり合わせに人生を翻弄された犠牲者であるという事実があきらかになってまいります。

長野オリンピック開会式の平和の鐘から連なる様々なご縁を受けて、北京オリンピック聖火リレー開催日の朝に、善光寺本堂において、この事件で犠牲になられましたすべてのチベット族、漢族の皆さんの菩提を、可能な限りお名前をお読み上げして、お弔いしていただきます。私たちは、これにより、国や民族、宗教などの差異を超えた平和な世界の実現を訴えていきたいと願うものであります。        

もとより、私たちは、北京オリンピックの平和的実現、これを強く支持いたします。オリンピック憲章に示される平等の理想が世界に広がることは、私たちの切に望むところです。 
そして、世界平和を願う皆様方が、北京オリンピックの成功を通して、お互いを慈しみ合う世界の実現に寄与されることを願っています。 

願わくは、日本の、中国の、世界の心ある皆さんが、共に善光寺での法要にこころを寄せて、共に犠牲者の冥福を祈り、そして共に世界平和への思いを新たにしていただければ幸いでございます。 
  

合 掌

0 件のコメント: